容器・バルブ・噴射剤
- エアゾールの手引き・基礎知識
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エアゾールを構成する材料
エアゾールは容器、バルブ、アクチュエーター、噴射剤の大きく4つの材料によって、構成されています。

容器
エアゾール製品はすべて内圧を有するため、容器は内圧に耐える耐圧性と、内溶液が洩れない機密性が条件になります。
ぶりきサイドシーム溶接缶(AEW缶)
1. 必要な強度(耐圧力)を持っていること。
2. 化学的に安定なものであること(腐食反応等を起こさないもの)。
3. 漏洩の生じない構造のものであること。
4. 商品として美麗なものであること。
5. 安価であること。
・大量生産に最適
・低価格
・美しい印刷仕上がり
・比較的化学安定度が高い(内面コートが自由)

アルミモノブロック缶(AL缶)
・ぶりき缶にくらべて軽量
・成型加工が容易なため、小型容器を作ることができる。
・高級品イメージがあり、全面印刷が可能
・錆びない

特殊容器(二重構造容器)
・腐食性の強い内容物に使用できる
・原液と噴射剤との適合性の悪いものでも、エアゾール化できる
・金属との接触を嫌う内容物に使用できる。
・高粘度物(ジェル、クリーム)も吐出可能。
・正立、倒立、横向きで噴射できる

プラスチック容器
・重量が比較的軽い
・100ml未満なら形態は自由※1
・腐食の心配がない
・デザイン的に差別化ができる。
※1 圧縮ガスを用いた製品については220mlまでの容器が使用できる。(エアゾール業界自主基準)

バルブ
エアゾールバルブは、エアゾール製品にとって重要な材料の一つです。
内容物を自在に、かつ容易に取り出せるばかりでなく、用途に適した状態で放出できます。

バルブが閉塞状態にある時は、ステム孔(POINT部)をガスケットがシールしている為、内容物が噴出されません。
バルブが解放状態にある時は、アクチュエーターを押し下げることによって、ステムが下がり、ステム孔(POINT部)が開口します。同時に、噴射剤の圧力によって内溶液が吸い上げられ、開口部からステム、アクチュエーターを通って外部に噴出されます。
アクチュエーター
アクチュエーターはバルブ本体と連結し、内容物を放出させるための作動部の総称です。
その役割は、エアゾール製品の噴射量、スプレーパターン、噴霧粒子径、噴射圧等の特性に影響する重要なものです。
アクチュエーターには大きく分けて霧やジェット状に噴射させるための『ボタン』と泡沫状に噴射させるための『スパウト』があります。
霧用


泡沫用

噴射剤
噴射剤は「液化ガス」,「圧縮ガス」の2つに分かれます。

液化ガス
液化ガスは以下のような特徴をもっており、エアゾールの噴射剤としては主に液化石油ガス(LPG)とジメチルエーテル(DME)が使用されています。
・臨界温度が高い。
・常温付近で加圧することにより簡単に液化される。
・また液化ガスが大気中に噴出させると容積が200〜300倍の気相のガスになるという特性により非常に細かい粒子を形成できるため、代表的な噴射剤となっている。
種類 | 液化石油ガス(LPG) | ジメチルエーテル(DME) | HFO-1234zE |
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特徴 |
エアゾール噴射剤としてはブタン、プロパンの混合物で使用されている。 日本で消費されるエアゾール用噴射剤の70%を占めている。 |
水との相溶性に優れ、非常に大きい溶解力を持っている。 水に対するジメチルエーテルの溶解度は約35wt%です。 |
2010年より使用が開始されており今後、エアゾール用噴射剤として期待されている。 燃えにくく海外では不燃性ガス扱いとなっている。 |
用途 | ヘアフォーム、ヘアスプレー、空間消臭剤、潤滑剤 | ヘアスプレー、芳香剤、殺虫剤、塗料 | 一液性フォームなど |
圧縮ガス
圧縮ガスの持つ以下のような特徴から、液化ガスとの差別化を図り使用される場合が多くなっています。
エアゾールの噴射剤としては炭酸ガス(CO2)や窒素(N2)が多く使用されています。
・臨界温度が低い。
・常温近くで加圧しても液化しにくい。
・液化ガスと比較し製品温度による内圧変化が少ない。
・環境に優しいエコ製品化に役立つ。
種類 | 炭酸ガス(CO2) | 窒素(N2) | 亜酸化窒素(N2O) |
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特徴 | 洗顔フォーム、ヘアトニック | 化粧水、傷薬 | 食品 |