当社開発2液吐出システム『DUAL®』(Double-bag Ultimate Aerosol)
- 開発内容
概要
現在、市場には2つの内容物を1つの製品内に梱包し、使用時に混合して反応させる2液反応タイプの製品や反応は伴わないものの同時に2つの効果を得られる製品が数多く上市されています。とりわけ2液反応タイプの製品は、1液タイプでは実現できない効果や性能を発揮し、実際に2液硬化型ウレタン塗料や2液硬化型エポキシ樹脂などで広く利用されています。このたび当社では、2つの内容物を1つの容器に収め、使用時に同時吐出を可能とした革新的な2液吐出システム「DUAL」を開発しました。「DUAL」は、酸化染毛剤をはじめとする幅広い2液タイプの製品に対応し、利便性・安全性・環境性・生産性を高いレベルで実現しています。
開発の背景
市場には、使用直前に2つの内容物を混合して効果を発揮する2液反応タイプの製品や反応はしないものの2つの効果を同時に得る製品が数多く存在します。特に2液反応タイプは、1液では得られない性能を発揮し、2液硬化型ウレタン塗料や2液硬化型エポキシ樹脂などで広く活用されています。
当社は、このたび、2つの内容物を1つの容器内に収納できる画期的な2液吐出システム「DUAL」を開発しました。容器内部に2つの内挿パウチを備え、それぞれに2液を分離充填する構造により、幅広い2液タイプの製品、とりわけ2液反応タイプの製品に高い有効性を発揮します。
酸化染毛剤(永久染毛剤)もその代表例です。従来の酸化染毛剤では、反応性のある2液を別々のチューブやボトルに保存し、使用直前に全量を混合する必要がありました。そのため、手間がかかる上に、一度混合すると保存できないという課題がありました。
当社は、1990年代から2液反応を活用する剤型のエアゾール化に取り組み、2液を別々のエアゾール容器に入れて連結する「二連缶システム」を開発しました。従来からの課題の多くは解決しましたが、2本構成ゆえに部品点数の多さや転倒のしやすさといった新たな課題が残っていました。これら課題は、1本の容器に集約できる「DUAL」によって解消されます。
DUALの構造
DUALは、汎用型のアルミ容器を使用して、噴射剤に環境負荷の少ない窒素ガスを採用しています。東洋製罐と共同開発したDUAL用バルブを搭載し、バルブには2つのアルミパウチが装着されています。各々のパウチには、それぞれの内容物を封入することで、2つの成分を混合させずに安定的に保存が可能です。使用時には、各々の内容物が独立した流路を経て、2つの出口から同時に吐出されます。これにより、ワンプッシュで2つの成分を同時に取り出せる、世界初の2液吐出システムを実現しました。尚、吐出用ボタンの仕様を変更することで、吐出直後に2液を混合させたり、別々のタイミングで吐出することも可能となります。
技術上の特長
当社のDUALは、酸化染毛剤における1剤の強アルカリ性と2剤の強酸性という厳しい条件に対応するため、フィルムの材質・接着剤・層構成を徹底的に検討し、長期使用に耐える高耐久性のパウチを実現しました。吐出性能については、従来の二連缶システムが通常使用では問題ない一方、シュリンクフィルムと樹脂性連結部品で連結された構造ゆえに、意図的にごく微量吐出したい場合などに、吐出ボタンの押下加減によっては、片側のみが先行吐出する場合がありました。DUALは1本の容器内に2つの吐出経路(2本のステム)を備えることで、この課題を改善し、2液の同時吐出性を一段と向上させています。さらに、環境配慮の観点から噴射剤に窒素ガスを採用し、従来システムと比べて使用するアルミ容器の本数削減と缶胴の薄肉化を進めることで、製缶時の炭酸ガス排出量の低減にも貢献しています。従来システムではエアゾールを2本使用していましたが、DUALでは1本化することで部品点数を削減し、組立効率と生産性の向上にも寄与しています。専用容器ではなく、一般のエアゾール容器を使用可能な設計とすることで、調達性と生産効率の向上も同時に実現しています。
実用上のメリット
DUALは、必要な量だけをワンプッシュでブラシ上に直接取り出せるため、そのまま混ぜる手間なく使用でき、日常の使い勝手に優れています。2液はそれぞれ独立したパウチに保存され、相互に接触しない構造のため、酸化染毛剤に限らず反応性のある内容物でも安定的に保存が可能です。使用時には2液を同時に吐出してその場で反応させることができ、1液では得られない効果を引き出せます。さらに光と外気を遮断する、密封性に優れたアルミ製エアゾール容器を採用し、容器内を窒素ガスで加圧しているため、特に酸素に敏感な処方ではシェルフライフの延長に寄与します。形状面でも1本の円柱型アルミ容器に集約したことで静置時の安定性が高く、倒れて周囲を汚すリスクも低減し、使いやすさも向上しました。加えて、従来は連結用シュリンクフィルムに印刷していたデザインを容器本体へ直接印刷できるため、質感や表現の自由度が増し、よりデザイン性の高い外観を実現可能です。
採用実績
2014年9月、DUALシステムを採用したヘアカラークリームが初めて上市され、各種ヘアカラークリームへの導入が拡大しました。その後、多用途展開の第一弾として、2018年12月に化学発光スプレー(災害用マーキング剤・防犯セキュリティ)へ採用されました。続いて、2019年7月には化粧品分野の第一弾として炭酸パック(スキンケア)に、2020年5月には衛生雑貨分野の第一弾として二酸化塩素スプレー(除菌・消臭・ウイルス除去)に採用されました。
これらの実績を背景に、DUALは2液混合型プロダクトの新たな標準として、今後もさまざまな分野への展開が期待されています。
今後の展開
既存のDUAL用吐出ボタンは、すべて個別案件向けの留め型(専用型)となっており、案件ごとに設計・評価が必要だったため、初期導入の大きなハードルとなっていました。そこで当社は、ノズル部品のみを交換することで、クリームタイプ、少量クリームタイプ、ミストタイプの吐出形態に対応可能な汎用型の吐出ボタンの開発に着手し、幅広い2液タイプの製品への採用を支援します。