エアゾール製品の「充填」とは?安全性・技術・設備を徹底解説!
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エアゾール製品の「充填」とは?安全性・技術・設備を徹底解説!
私たちの日常に欠かせないエアゾール製品。
空間消臭剤やヘアスプレーなど、便利で多様な形で生活を豊かにしています。
しかし、その製造工程の中核を担う「充填」については、あまり知られていないかもしれません。特に高圧ガスを扱うエアゾール製品の充填は、他の充填とは一線を画す高い技術と厳格な安全管理が求められます。
本記事では、エアゾール製品の充填のパイオニアとして長年の実績を持つ東洋エアゾール工業の視点から、この特殊な「充填」プロセスを徹底的に解説します。
エアゾール製品の充填とは
エアゾール製品の充填とは、原液と噴射剤(ガス)を容器に充填し、バルブを取り付け、密封する一連のプロセスです。これは単に液体を容器に詰めるという単純な作業ではありません。
エアゾール製品の特徴は、製品を霧状、泡状など特定の形態で噴射させることにあります。この機能を実現するためには、高圧ガスの特性を熟知した専門知識が不可欠です。
充填工程では、原液の特性、噴射剤の種類、容器の耐圧性、バルブの機能性など、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。これらの要素が適切に組み合わされることで、初めて安全で機能的なエアゾール製品が完成します。
エアゾール製品の充填は専門性が求められる
エアゾール製品の充填が他の充填作業と根本的に異なる点は、高圧ガスを使用することにあります。そのため一般的な充填には存在しない安全対策、法規制、専用の設備環境が求められます。
危険性
高圧ガスは引火性、爆発性、中毒性など、様々な危険性を持っています。これらのリスクに対応するため、法令や基準に基づく安全対策が必要となります。
法規制の適用
高圧ガス保安法をはじめとする厳格な法規制の適用を受けます。これは一般的な液体製品の充填では必要のない、特別な許可や設備基準の遵守を意味します。
※高圧ガス保安法:高圧ガスによる災害を防止するために、その製造・貯蔵・販売・移動・消費、容器の製造・取り扱いを規制し、安全確保を図る法律です。具体的には、1MPa(メガパスカル)以上の圧縮ガスや0.2MPa以上の液化ガスを「高圧ガス」と定め、これらを扱う事業者に対して許可や届出を義務付けるなどの管理を行っています。この法律により、公共の安全を守るため、製造設備や容器、流通過程における技術基準や資格制度などが整備されています。
専用設備の必要性
防爆構造の設備、ガス検知器、特殊な換気システムなど、専用の設備や作業環境が必須となります。
エアゾール製品の様々な充填方式
エアゾール製品の充填は、単に液体を詰めるだけではありません。原液の性質や製品の形態に応じて、様々な充填方式を使い分けています。東洋エアゾール工業では、長年の経験と技術力に基づき、多種多様なエアゾール製品に対応しています。
各種原液の充填方式
エアゾール容器に原液を正確に計量し充填する方式です。原液の粘度や特性に応じて最適な方式を選定します。
主な方式
<ピストン式>
一定量の原液をシリンダー内に吸い込み、ピストンで押し出すことで定量充填を行う方式です。
低粘度から高粘度の液体に使用します。
<プランジャー式>
マイクロメーターで充填量を高精度に調整できる方式で、低粘度から高粘度、小容量から大容量まで幅広い原液に対応可能です。
原液特性により、チェッキバルブとロータリーバルブのタイプを使い分けします。
<重力落下式(タイマー式)>
原液を重力で落下させ、時間を管理することで充填量を調整する方式です。
低粘度の液体に適しています。
<粉末充填機(オーガー式)>
粉末状の原料を正確に計量・充填するためのオーガー(スクリュー)式充填機です。オーガー式充填機は粉末充填の代表的な方式であり、流動性・非流動性のいずれにも対応できる万能機として、粉末の流動性や粒度に関係なく安定した充填が可能です。
オーガーの各ピッチが単位容量とみなされ、通常オーガー回転数で充填容量が決まる仕組みです。
◎各種原液の充填方式
― 高粘度原液充填機 ―
エアーシリンダーにて原液に圧力を加え、ステム孔から充填するスルーステム充填を採用することで、主にT型、TUB型、BOV等の二重構造容器を使用した高粘度原液充填機に対応しています。
また、2液を一定の割合でミキシングし充填する製品にもこの充填機が使用されます。
― プランジャーポンプ ―
マイクロメーターで充填量の調整を行うため、高精度の原液充填が可能です。
また、チェッキバルブとロータリーバルブのタイプがあり、低粘度から高粘度、小容量から大容量まで対応可能です。
― 粉末充填機(オーガー式)―
オーガー式充填機は、粉末充填の代表的な方式であり、流動性、非流動性の何れにも対応出来る万能機です。
オーガーの各ピッチが単位容量と見なされ、通常、オーガー回転数で充填容量が決まります。
各種ガスの充填方式
エアゾール製品の機能性を左右する噴射剤(ガス)を、正確に計量し充填する方式です。ガスの種類や製品の特性に応じて、最適な方式が選ばれます。
主な方式
<アンダーカップ充填方式>
バルブ(マウンテンカップ)をガス充填圧力で持ち上げ、容器との隙間から液化ガスを充填する方式です。
ガス量の多い製品の充填に適しており、高速充填が可能です。(能力:250缶/分以上)
ヘッド内に残ったガスロスが多いのがデメリットです。
<スルーバルブ圧力充填方式>
予めバキュームクリンチされた密封容器に、ガス充填圧力によりステムを押し下げ、ステム脇及びステム孔から充填する方式です。
アンダーカップ充填に比べ充填スピードは落ちますが、充填精度は良いです。
様々なエアゾールバルブに対応可能なアダプター(ノズル)を保有しています。
<加圧式シリンダー(液体)>
エアーシリンダーによりピストンの往復動と充填物への加圧を行い、バルブを介して高圧で容器内へ充填する方式です。
<差圧式シリンダー(液体,気体)>
シリンダー内へ高圧で供給された液化ガスの圧力を利用してピストンを作動させて容器内へ充填する方式で、アンダーカップ充填とスルーバルブ充填の両方に対応しています。
また、炭酸ガスの充填では気体を加圧して充填するインパクト充填を採用します。
<平衡圧充填(気体)>
気体で供給されたガスの圧力を調整し、平衡圧力で容器内へ充填する方式です。
インパクト充填に比べ低圧で充填できる方式です。
◎各種ガスの充填方式
― アンダーカップ充填方式 ―
バルブ(マウンテンカップ)をガス充填圧力で持ち上げ、缶との隙間からガスを充填します。
[特徴]
・ガス量の多い製品の充填に適応
・高速充填が可能
(ヘッド数:18ヘッド,能力:250缶/分以上)
・ヘッド内に残ったガスロスが多いのがデメリット
― スルーバルブ圧力充填方式 ―
予めバキュームクリンチされた密封容器に、ガス充填圧力によりステムを押し下げ、ステム脇およびステム孔からガスを充填します。
[特徴]
・充填精度は良く、残ガスによるロスが少ない
・アンダーカップ充填方式に比べて充填スピードは遅い
エアゾール容器の密封方式
エアゾール容器を密閉状態にするためには、容器開口部へバルブ機構の付いた蓋を固定するクリンチ、クリンプ、カシメ等の密封工程が不可欠です。
また、容器内へ充填されたガスが漏れることのない様、各々の規格により管理され専用の機械によって生産されます。
主な方式
<クリンチ方式>
開口φ25.4のエアゾール容器のビードに、取り付けられたマウンテンカップを全周的に対称なクリンチ爪によって、マウンテンカップ内側から外方向へ放射状に拡げる操作(拡径)をクリンチと呼び、容器やバルブ、シール材等の条件によって、クリンチ寸法、クリンチ爪を選定します。
<クリンプ方式>
クリンチとは、逆に外側から内向きにクリンパーの爪を閉じる(搾径)操作をいい、主に小径缶や二重構造容器(二連缶、DUAL)に使用します。
容器毎の専用クリンプヘッドで対応することで、容器内バキューム(脱空)や容器内の酸素濃度を低減した密封が可能となっています。
<ロールシーマー>
当社で開発された密封方式で、容器の上部に専用のバルブを収納できる様に設計されており、バルブは容器天面をロール巻締することにより固定され、気密が保たれています。
・φ15容器は、試供品等の小型商品が多い
・φ28容器は、二重構造容器を用いた二連缶染毛剤などに使用
◎エアゾール容器の密封方式
― クリンチ方式 ―
開口φ25.4のエアゾール容器のビードに、取り付けられたマウンテンカップを全周的に対称なクリンチ爪によって、マウンテンカップ内側から外方向へ放射状に拡げる操作(拡径)をクリンチと呼び、容器やバルブ、シール材等の条件によって、クリンチ寸法、クリンチ爪を選定します。
― クリンプ方式 ―
クリンチとは、逆に外側から内向きにクリンパーの爪を閉じる(搾径)操作をいい、主に小径缶や二重構造容器(二連缶、DUAL)に使用します。
― ロールシーマー方式 ―
当社で開発された密封方式で、容器の上部に専用のバルブを収納できる様に設計されており、バルブは容器天面をロール巻締することにより固定され、気密が保たれています。
・φ15容器は、試供品等の小型商品が多い
・φ28容器は、二重構造容器を用いた二連缶染毛剤などに使用
エアゾール製品の充填における安全性の確保と法規制
安全性の確保
エアゾール製品の製造現場では、可燃性ガスを噴射剤として使用することから、常に引火・爆発のリスクと隣り合わせの作業環境となります。このような危険性の高い製造工程において、安全性を確保するためには包括的なリスク管理体制の構築が不可欠です。
引火・爆発リスクへの対応
多くの噴射剤は可燃性ガスであるため、製造現場では厳重な防爆対策が求められます。まず基本となるのが、防爆構造の設備使用です。電気設備から機械装置まで、すべての機器が防爆仕様である必要があります。
作業環境の安全性確保においては、適切な換気システムの設置が極めて重要な役割を果たします。可燃性ガスの蓄積を防ぐため、強制換気による空気の循環を常時維持する必要があります。さらに、ガス検知器による常時監視体制を構築し、わずかなガス漏洩も見逃さない監視システムを運用します。
これらの対策に加えて、電気設備の防爆仕様への対応も欠かせません。スイッチやコンセント、照明器具に至るまで、火花の発生を防ぐ構造の機器を使用することで、着火源を根本的に排除します。
静電気対策の重要性
静電気の発生は、可燃性ガス環境においては極めて危険な着火源となります。製造工程では、まず静電気発生源の特定と除去から始める必要があります。液体の流動やコンベアの運転など、日常的な作業の中に潜む静電気発生要因を徹底的に洗い出します。
対策の基本となるのが設備の確実な接地です。すべての金属製設備を適切にアース接続することで、発生した静電気を安全に大地に逃がします。また、除電装置の設置により、作業者や製品に帯電した静電気を積極的に除去します。これらの技術的対策と併せて、帯電防止対策の徹底を図り、作業衣服から靴に至るまで、静電気の発生を抑制する材質のものを使用します。
製品事故防止への取り組み
製品事故を防止するためには、製造段階での品質管理が極めて重要となります。品質管理体制の構築では、原材料の受入検査から最終製品の出荷まで、各工程における品質チェックポイントを明確に定めます。
製造プロセスの標準化により、作業のばらつきを排除し、常に一定品質の製品を製造できる体制を整備します。これにより、製品の安全性に関わる重要な工程パラメーターを確実に管理できるようになります。
エアゾール製品の充填における法規制
エアゾール製品の充填は、高圧ガスを扱うという特性上、一般の製造業とは異なる厳格な法規制のもとで行う必要があります。特に日本では「高圧ガス保安法」を中心に、設備、作業環境、取り扱う人員の資格に至るまで、詳細なルールが定められています。
必要な法的許可の取得
事業を開始するにあたっては、高圧ガス製造許可の取得が必要不可欠です。特定の高圧ガスを扱う場合には、特定高圧ガス製造許可も併せて取得する必要があります。これらの基本的な許可に加えて、事業内容や規模に応じたその他関連する許可・届出についても、漏れなく手続きを行う必要があります。
設備基準の厳格な遵守
法規制で定められた設備基準への適合は、安全操業の前提条件となります。設備の技術基準への適合では、圧力容器の構造から安全装置の設置まで、詳細な技術要件をクリアする必要があります。
立地面での制約として、保安距離の確保が求められます。これは、万が一の事故が発生した場合でも、周辺への影響を最小限に抑えるための重要な安全措置です。また、貯蔵量制限の遵守により、施設で扱うガス量を法定の範囲内に制限し、リスクレベルをコントロールします。
継続的な自主保安体制の運用
法規制遵守は、許可取得時だけでなく、事業運営期間中を通じて継続的に行う必要があります。定期的な検査・点検の実施により、設備の健全性を維持し、法定の性能基準を満たし続けます。
人的な安全確保の面では、保安教育の継続的な実施が重要な役割を果たします。作業者一人ひとりが高い安全意識を持ち、適切な作業手順を理解することで、ヒューマンエラーによる事故を防止します。
最後に、事故・災害時の対応体制整備により、緊急事態が発生した場合でも被害を最小限に抑える準備を整えておきます。これには、消防機関や行政との連携体制も含まれ、地域全体の安全確保に貢献する体制作りが求められます。
当社の安全確保のための企業努力
高圧ガスを取り扱う者は国家資格の高圧ガス製造保安責任者資格を保有しており、専門知識に基づいた適切な安全管理を実施しています。
①年一回の安全監査(自主基準)を実施:内部基準に基づく包括的な安全管理状況の監査
②年一回の設備検査: 抜粋した高圧ガス設備の気密・耐圧検査を実施
③日常の安全管理:各工場の部会にて日々の巡視及び点検を継続実施
よくあるご質問(FAQ)
Q.どんな製品(液体)でもエアゾール製品にすることは可能ですか?
A.液体、泡、ジェルなど、さまざまな剤形に対応していますが、製品の粘度や化学的特性、危険物の有無などによって適した充填方法が異なります。液化ガス噴射剤との相性も考慮する必要があるため、一度ご相談頂ければと思います。
Q.ガスの充填方法にはどのような種類がありますか?
A.ガス(噴射剤)の種類や充填量に応じて、いくつかの方法があります。
液化ガス・・・圧力充填,アンダーカップ充填,スルーバルブ充填
圧縮ガス(気体)・・・インパクト充填,平衡圧充填
炭酸ガス(気体)・・・インパクト充填
Q.自社でもエアゾール製品の充填はできますか?
A.エアゾール製品の充填は、高圧ガスや危険物を取り扱うため、専門的な知識と設備が必要です。安全性を確保するため、専門の充填業者に委託するのが一般的です。
Q. 品質管理はどのように行われますか?
A.製品の充填量の確認、漏洩チェック、噴射パターンのテストなど、厳格な品質管理プロセスを実施しています。これにより、製品の一貫性と安全性を確保しています。
まとめ
エアゾール製品における「充填」は、高圧ガスを扱う特殊な技術であり、徹底した安全管理と品質管理が不可欠なプロセスです。
当社は、長年にわたり培ってきた専門知識、技術力、そして安全への揺るぎないコミットメントにより、お客様のニーズに応え、安全で高品質なエアゾール製品を提供し続けています。
エアゾール製品の製造をご検討の企業様、あるいはエアゾール製品の安全性や品質にご関心をお持ちの方は、ぜひ東洋エアゾール工業までお気軽にお問い合わせください。
私たちは、お客様の課題解決と価値創造のパートナーとして、最適なソリューションをご提供いたします 。